助けて東京

東京に助けてもらうブログです

やっぱり人生には具体的な目的が必要だ

珍しく人生に対して前向きになれているのでこの気持ちを忘れないうちにここに留めておく。また何か悩んだら読みなおす。ついでなのでここ1年あったことも振り返る。

 

今年大学4年になった。

就活しようかどうか悩んでるうちに大学の就活ガイダンスやらリクナビのイベントやら何もかもすっぽかしてしまった。自分は異常なほどの面倒くさがり屋で就活にモチベーションがなければ「とりあえず行っておくか」すらの発想すら持たない。これはもうどうしようもないものだ。今更改善する気もない。

理系ということもあってか大学の先生はやたらと進学を勧めてくる。自分はそれに特に違和感を感じなかった。「先生がそういうならそれが正しいんだろう。」そうとしか思わなかった。だから自分は特に目的もなく進学を選択した。内部進学なので試験は楽勝だ。ちゃんと面接で寝ないで起きてれば受かる。

自分の進学する大学院の人間が、そのまま大学院で学んだことを生かそうとするとエンジニアかデザイナーになるのだろうか。先輩にはその手の専門職に就いて行った人間も多い。院卒で専門職ともなるとさぞかし給料もいいんだろうな。そんなことを考えながら自分は大学卒業までの今年1年は特に何もせず過ごすつもりだった。ここらへんは4月の話。

 

 

しかし、時間があまりにもありすぎる。

大学の単位は取り終えた。あとは卒論を書くのみだ。卒論のための研究は進めている。でもそれだけでこの有り余る膨大な時間はすべて消えやしない。1日24時間のうち8時間研究して6時間寝てもあと10時間もある。10時間あれば東京から一体どこまで行けるんだろう。博多までが新幹線で5時間ちょっとだからぎりぎり往復に足りないくらいかな。

自分は1年浪人しているから高校や中学の同級生は大半が社会人だ。みんな「大学のうちにもっと遊んでおけばよかった」と口を揃えて言う。自分はみんなが喉から手が出るほど欲しがっているそんな貴重な時間で、研究と睡眠しかしていないのだろうか。なんだかとてももったいない気がしてきた。

この有り余ってる膨大な時間を何かしら有意義なことに使いたい。もう今後の人生でこんなに自由な時間を得られることは二度とないだろう。絶対に後悔しない使い方をしたい。かつての同級生達はこの時間をどう過ごしたのか。バイトに明け暮れたのか。海外を渡り歩いたのか。でもそれは学生生活最後の1年の過ごし方だ。自分はまだ来年からも学生を続ける予定だ。何がこの1年にふさわしい過ごし方なのだろうか。

 

 

ここでは珍しく考えるより先に手が動いた。インターンを探した。去年大学の同級生が夏休みに必死になって行っていたやつだ。当時の自分は当然、興味の「き」の字も無かった。去年の夏は確か廃墟巡りとかしてたかな。足尾銅山の。

インターンはエンジニアで探した。プログラミングに自信があるわけではないがJavaPythonなら実装経験もある。インターンで実務経験を積んでスキルを伸ばせれば、何か役に立つことがあるかもしれない。そう思ってWantedlyやInfraで募集のかかっている企業を通えそうな範囲で応募ボタンをポチりまくった。

一応、大学名やら所属研究室の先生の知名度がそこそこ高かったりしているおかげで、自分のプロフィールを見たら興味を持って面接に招待してくれる企業は多かった。というかほとんど招待きたと思う。先生すごいな。

しかし、そこからの採用が思ったより敷居が高い。多分10社は落ちたと思う。そこそこプログラミング経験があることはアピールしたが、やっぱり「将来のために何かしら有意義なことをしたい」という曖昧な目的が見透かされているのだろう。言われてみれば、御社への貢献なんてことはこれっぽっちも考えたことがない。「時間を無駄にしたくない」という漠然とした恐怖はあるが、やる気はない。1社だけ採用をもらったが、オフィスが最寄駅から遠かったので辞退した。その程度だ。6月から8月はこれの繰り返しだった。

 

 

インターンに応募」ということをするようになってから、あらゆるところの「インターン募集」の文字に目がいくようになった。その主な機会がTwitterだ。自分はTwitterでコラムの掲載をしている編プロ企業のアカウントを多くフォローしているが、ここら辺の企業もインターンを募集している。もちろん業種はwebライターだ。

自分は理系だが文章を書くのは好きだ。大学の課題もテスト1回かレポート10000字だったら喜んでレポートを選ぶだろう。しかし、レポートの成績評価がそれほど突出していいわけではない。このノートを読んでくれている人もわかるだろうが、文章を書く力があるわけでもない。ただ、興味はある。

編プロインターンの募集に特に制限はなかった。学生だろうが社会人だろうが、理系だろうが文系だろうが応募は可能だ。ただし、作文形式の書類審査があった。テーマをもとに、簡単な文章を書けというものだ。経歴に関係なく、現能力や伸びしろを見てくれるということだろう。良い企業だなと思った。自分は興味本位で書類審査の課題文章を書き、提出をした。Twitterのフォロワーは20万人。ここだけ見ればかなり大手に近い企業なのもわかる。採用されたら嬉しいな程度の気持ちで。これは8月下旬の話。

 

 

一方、エンジニアの方では、インターンではなくバイトとしてエンジニア業務に携われる場所を探した。ここからは本当にあっという間だった。3社申し込んで3社とも採用を頂いた。インターンとバイトってのはやっぱり違うんだなというのをここで痛感した。

採用を頂いた会社で一番通いやすく、採用面接の担当のおっさんの人相がよさそうだった場所を選んだ。創業5年目のベンチャー企業ベンチャーの社長は若いイメージがあるけどここは立派なおっさんだった。主な業務はwebシステムの管理。詳しくは知らない。

初勤務から2か月は研修期間とのことらしいが、主な使用言語はJava(他にもPHPやSeaser2などいろいろあるがとりあえず代表的なのはJava)。自分は使用経験のある言語だったため、かなりのハイペースで研修が進んだ。およそ1カ月弱の期間で研修は終わった。研修期間の時給は1000円に対し、通常業務に移れば時給は1500円へと上がる。こちらとしては万々歳だ。

9月。エンジニアバイトでの業務が本格的になった。仕事に慣れるため、1日8時間のフルタイム出勤を繰り返し、ようやくノウハウをつかんできた。ここでの一番のモチベーションは、「会社の人間の足を引っ張りたくない」だっただろうか。研修を早めに終えたことから周囲の期待も高くなっているように感じた。その期待には応えようと日々奮闘した。

しかし、エンジニアバイトの仕事を続けているうちに少し違和感を感じたのはこの頃からだ。自分がこの仕事をやっている目的は「将来のために何かしら有意義なことをしたい」だった。確かに今やっていることは、間違いなく実務経験であるし、きっと有意義なことだろう。

でもそれは「エンジニアを目指す」場合じゃないのだろうか。そういえば自分はこれまでエンジニアになりたいと思ったことが一度でもあっただろうか。今いる自分の大学での環境がそう思い込ませているだけではないのだろうか。急に自問自答が止まらなくなってきた。

 

ちょうどエンジニアバイトでそんな新たな壁と直面している時だった。なんと8月に申し込んだ編プロのwebライターインターンの書類審査を通過したとのメールが届いた。ただでさえエンジニアバイトに対する気持ちが揺らいでいた時なので、とても興奮した。2次審査にあたる面接はすぐ翌日に行うことになった。

 

結論から言うと、webライターインターンはそのまま採用を頂いた。もちろんその企業の掲載しているコラムには、大半目を通しているために何の話をされても大丈夫だった。進学を予定しているため長期勤務ができるというのも武器だ。あんなに熱のこもったトークをしたのはかなり久々だった気がする。

しかし、こちらにも問題があった。時給が950円なのである。一方エンジニアバイトの時給は1500円。1.5倍以上の差がある。おまけにオフィスが自宅から遠い。片道1時間はかかる。おまけに電車も混むビル街だ。

 

webライターインターンの方は採用の翌週から、エンジニアバイトと1日おきに出勤することになった。こちらではまず本社に自分の面倒を見てくれる社員がいて、研修の間はその人と記事を共同執筆する形になっている。研修期間は1カ月。社員が自分と年齢の近い兄ちゃんだったのでなかなか盛り上がった。

 

10月中旬。webライターインターンも研修が終わり、自分一人で記事を本格執筆するようになった。執筆した記事は、社員がチェックし、そのチェックが通れば無事に世に出回ることになる。普段自分がTwitterのタイムラインで見ているような記事を、自分が書く側に回るということだ。他の学生インターンには自分より年下の大学生もたくさんいて、中には高校を卒業したばかりの子もいる。そういう子たちがああいう記事を書いてるんだなと思うとこれからタイムラインを流れるコラムツイートを見る目も変わりそうだ。

自分の書いた記事は、フォロワー20万人を超える会社のTwitterアカウントによってツイートされ、瞬く間に1万以上の閲覧数を稼いだ。閲覧数は3万を超えればヒット記事扱い。自分の書いた記事はまだまだだ。しかもその1万の閲覧数も会社のネームバリューによる功績が99%と言ってもいい。

今回は、会社のネームバリューに乗っかって人を引き付けてヒットにも満たない閲覧数を稼いだ。でも、もし自分がいつか著名なライターになって、会社のネームバリューに頼らず、自分だけの力でこの閲覧数を稼げるようになったらそれはどれだけすごいことだろう。みんなが自分の書いた文章を読むためにタイムラインに流れてくるツイートのリンクを開くのだ。

すごく魅力的なことだと思った。自分は自分の書いた文章をもっとみんなに読んでもらいたい。それで自分の考えていることを共有したい。それで誰か見知らぬ人に共感してもらえるのはとても素敵なことだし、誰かと意見の対立があるのもまた面白い。炎上には気を付けたいけど。

そんなことを考えてるうちに、自分はこのwebライターの仕事が楽しくて仕方なくなった。時給950円であることや、オフィスの通いづらさが気にならなくなるくらいに。やっと自分のやりたいことに出会えたのだ。

自分は将来、物書きの世界に進みたい。

 

 

10月いっぱいで元からやっていたエンジニアバイトはやめた。たった2カ月間の短いバイトだった。会社側からしてみれば外れ人材だろう。申し訳ないことをしたと思う。

たった2か月からしてないのに何言ってんだと思われるかもしれないが、エンジニアの仕事は性に合わないと思った。将来目指すこともないだろう。逆に考えれば、昔はただ漠然と「将来はエンジニアになるのだろう」だったところを、そうではないと思えただけでもこの2か月やフルタイム出勤したあの日々は無駄じゃなかった。甘えかもしれない。でもそれでいい。

 

それでも自分が来年大学院に進学するという現状は変わらない。専攻はバリバリの情報系だ。大学院で学んだ分野を生かした職業に就くというわけにはいかないかもしれない。

しかし、今の自分には「物書きの世界に進む」という明確な目標がある。明確な目標があれば、現状をそれに向けて有効活用する手段はいくらでもある。自分はそれを浪人中に学んだ。

それは理系ならではの論理思考を育むことか。論文執筆で文章力を鍛えるか。今思いつくのはそれくらいだ。そこから先は先生に相談するのもいいだろう。先生は良い人だ。

 

 

11月中旬。今に至る。今はそのインターンと卒業研究を交互に進めている現状だ。研究は順調と言えば順調だが、この先何があるかはわからない。無事に卒業できるといいな。

 

この「物書きの世界に進む」という目標も言ってしまえばつい先月できたばかりの目的だ。この目的がこの先揺らぐことはいくらでもあるだろう。揺らいでもいい。でも目的を無くしてはいけない。一つの目的が消えるなら、その先に新しい目的を見つけるべきだ。何も目的のない時間こそが本当に無駄なのだ。人生には目的が必要だ。

またいつかの将来、何か悩みの壁にぶつかるであろう自分にそう言っておくことにする。